保健局が調査を行う場合......
1つの例は、保健局です。Kay Hirschfeldは、ドレスデン市の市政でサイバーセキュリティーを担当する管理者として、従業員がセキュリティー保護された状態で調査を行えるようにする必要がある、機密性の高い領域を特定しています。例えば、従業員には、情報キャンペーンを実施するため、セックスワーカーに連絡できることが必要です。無料で匿名のエイズ検査が受けられることを知らせるといった目的で、同性パートナーのフォーラムにアクセスできる必要があります。どの場合でも、個人データは暗号化/仮名化する必要があり、データの保護および削除期限を遵守することが求められます。特に、オンライン調査業務を内部システムから分離し、個人情報が処理されるオペレーティングシステムに、誰もブラウザーからアクセスできないようにすることが不可欠です。
武器登録の状況も同様です。最近まで、武器登録事務所(合計で約550)では、データ管理にさまざまなシステムが使用されており、デジタルではなくインデックスカードを使用していた場合もありました。関連するEU指令により、全事務所のデータを統合すると(統一し、1つの中央システムに保存すると)、リスクが増大しました。Hirschfeldは、次のように説明しています。「これで、ハッカーは単一のゲートウェイからまったく品質の異なるデータにアクセスできるようになり、おそらくアクセスできるデータの量もこれまでとは桁違いになりました」。ITセキュリティーの専門家にとって重要な点は、独自のオペレーティングシステムのカプセル化にもかかわらず、インターネットでのトランザクションの実行速度が通常保護のシステムとほぼ変わらないことです。適切な構成により、Windowsの起動時に目立たないようにロードすることもできます。
鍵となる多層セキュリティー
アプリケーションの実行中は、オペレーティングシステムとイントラネットはウェブブラウザーから完全に分離されたままです。テレメトリデータがプロデューサーに送信されなくなります。これは、ドキュメント、関連するクライアント、その利用量に関するメタデータです。この情報と一緒に、機密データも気付かれることなく取得される可能性がありました。ブラウザーは、完全に仮想化されたプラットフォーム上で、ユーザーへの顕著な影響なしに動作します。これは、ブラウザーが期待どおりに動作するためです。また、「Docs in the Box」機能により、ウイルスを含む可能性のある電子メールの添付ファイルを仮想化環境のプレビューウィンドウで安全に確認できます。
その鍵となるのが、強化されたLinuxシステムです。Schulzは、次のように説明しています。「オープンソースのオペレーティングシステムの機能が最小限に制限されており、そこで実行できるのはブラウザーのみです」。さらに、データトラフィックは、R&S®Trusted VPNゲートウェイを使用したVPNトンネルによってエンドツーエンドで暗号化されます。Schulzが指摘するように、この種の完全なネットワークとブラウザーのカプセル化を、フル機能を保持した状態で提供しているメーカーは、世界でただ1つです。
人的要因
R&S®Browser in the Boxを使用すると、個々の許可されたユーザーは、各単一サイトを個別にチェックする責任から解放されます。そうは言うものの、ドレスデンのKay Hirschfeldは、「最も危険な人物は、ハッカーではなく、適切なアクセス権を持つ不注意な、おそらく不機嫌な従業員です」と警告しています。技術ソリューションは、会社の外にデータを持ち出すスパイに対しては無力です。しかし技術ソリューションがなければ、何も始めない前にデータを失なうことになります。