タイムドメインと周波数ドメインのジッタ測定の比較

データ伝送システムの信頼性を解析する際に、ジッタは重要な指標です。高速と低速の移動アーティファクトを区別するには、タイムドメイン用と周波数ドメイン用の両方のジッタ測定器を使用することが推奨されます。

課題

ここでの課題は、高感度でジッタを測定することです。タイムドメインのランダムジッタによって周波数ドメインで信号の拡散が生じ、これは意図しない位相変調や位相雑音と判断されます。R&S®FSWP 位相雑音アナライザは、周波数ドメインの位相雑音をタイムドメインのジッタよりも高感度で測定することにより、ジッタ測定に関して優れた感度を実現しています。これに対して、R&S®RTO デジタル・オシロスコープはダイナミックなスプリアス(タイムドメインのトランジェント信号または移動スプリアス)のジッタを検出できます。

R&S®RTOとR&S®FSWPの測定結果の比較

比較に使用しているのは、1 MHzでFM変調された1 GHz信号と、帯域幅が0 Hz4 MHzの相加性ノイズです。対応する測定を実行するために、R&S®RTOではタイム・インターバル・エラー(TIE)を選択しています。測定器が両方とも発振器をトラッキングするからです。しかし、測定器の測定理論が異なるので2種類のアナライザには差が生じます。R&S®FSWPは、複数のサイクルの信号を積分します。

R&S®FSWPは、ランダムジッタ(RJ)と周期ジッタの測定に最適です。一方、R&S®RTOは、デューティ・サイクル歪みやデータ依存ジッタも検出できます。

R&S®FSWPとR&S®RTOのジッタ測定の特性
R&S®FSWP R&S®RTO
感度 ≦5 fs 600 fs(ジッタ・ノイズ・フロア)

ダイナミック信号の検出
-
トラック機能による検出

測定化可能な最大周波数
最大50 GHz 最大6 GHz
エリアジング なし あり

測定可能な信号のキャリアに対する距離
0.01 Hz
最大記録長により制限されます

図1の一番上は、R&S®RTOのトラック機能による測定波形です(TIE対時間)。中央のダイアグラムには、トラック機能のFFTが示されています。FFTは、PJのジッタスペクトラムを表示しています。曲線の下の領域は、信号の全ジッタ(TJ)に相当します。結果は、dBpsの単位で表示されています。一番下は、TIE測定のヒストグラムです。

図2には、R&S®FSWPの測定結果がdBc/Hz単位で表示されています。R&S®FSWPは、各スプリアスのPJ、全PJ、位相雑音スペクトラムのRJもps単位で計算します。

結果を比較するために、両方の測定の単位はpsに変換されています。また、R&S®RTOのランダムジッタとR&S®FSWPの全ジッタは、以下の式によって計算されます。

TJ2=RJ2+PJ2

下の表に、個々の測定とその差を示します。R&S®RTOとR&S®FSWPの結果はほぼ等しくなっています。PJは同じ周波数で検出されていて、値の差は0.5 ps未満です。検出されたRJ値とTJ値の差は0.5 ps未満です。この結果は、2種類の測定器の比較結果が良好に対応していることを実証しています。

R&S®RTO2044とR&S®FSWPの測定結果
周波数 R&S®RTO2044 R&S®FSWP

周期
ジッタ
1.0 MHz 4.64 ps 4.63 ps 0.01 ps

ランダム
ジッタ
(平均)
7.34 ps 7.44 ps 0.10 ps

全ジッタ
(平均)
8.68 ps 8.76 ps 0.08 ps

まとめ

R&S®RTO デジタル・オシロスコープとR&S®FSWP 位相雑音アナライザは、ジッタ信号(TIE)を同等に正確に測定できます。R&S®RTOはタイムドメインで、R&S®FSWPは周波数ドメインで測定します。R&S®RTOは感度は制限されますが、デューティ・サイクルやデータ依存ジッタ、高速トランジェント信号の解析などの結果を提供できる多くの機能を備えています。R&S®FSWPは数fsという優れた感度で、周期ジッタとランダムジッタを容易に区別できます。R&S®RTOとR&S®FSWPは互いに適切に補完し合い、ジッタ測定に最適なソリューションを実現します。

RTO2044 デジタル・オシロスコープの測定結果
図1:R&S®RTO2044 デジタル・オシロスコープの測定結果
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FSWP 位相雑音アナライザの測定結果
図2:R&S®FSWP 位相雑音アナライザの測定結果
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