3GPPによってリリース13で最初に仕様化されたNB-IoTは、きわめて広いカバレッジと低い消費電力を必要とするIoTアプリケーションに最適なモバイル・ネットワーク・テクノロジーです。これらのアプリケーションの一般的な特徴は、低いデータレートと、数秒程度の比較的緩い応答時間要件です。実例としては、スマートメータや、ネットワークに接続されたゴミ箱、自転車、養蜂場、ネズミ取りなどが挙げられます。最初のネットワーク配備は2017年後半に始まり、全世界での商業展開は2018年に開始されました。NB-IoTは、LTE搬送波内、LTEガードバンド内、およびスタンドアロンのソリューションとして配備できます。将来は、5G NRのきわめて柔軟なヌメロロジーによって、NB-IoTの5Gバンド内動作が容易になる見込みです。
NB-IoTに固有の機能セット
NB-IoTはセルラーLPWANテクノロジーであり、ダウンリンクでは180 kHz（1 PRB）帯域幅、15 kHzのサブキャリア間隔で、アップリンクでは通常3.75 kHzまたは15 kHzのシングルトーン伝送で動作します。追加された20 dBの最大結合損失（MCL）要件を満たすため、NB-IoTでは、ダウンリンクでのパワーブーストや、アップリンクとダウンリンクの両方でのサブフレーム反復といったカバレッジ拡張技術が用いられます。10年を超えるバッテリー寿命を実現するため、PSM、eDRX、RAI（Release Assistance Indication）といった特殊な省電力機能が必要となります。さらに、NB-IoTとLTE-Mの導入によって、最適化されたコアアーキテクチャー仕様が必要となりました。これは例えば、制御プレーンを通じたユーザーデータの伝送や、EDT（Early Data Transmission）に対応します。
NB-IoTでは、LTEでのなじみ深い機能や技法が多数再使用されています。このため、テストアプリケーションのほとんどは、LTEモデムのテストによく似ています。ただし、特殊なLPWANアプリケーション機能に対する注意が必要です。例えば、10年を超えるバッテリー寿命を保証するために、さまざまな構成と動作モデルでの消費電力の詳細な解析と最適化が強く推奨されます。極端なカバレッジ条件での動作には、クラス最高のRFデザインとアンテナデザインが必要です。これらのテストは無線で行うのが理想的です。また、各CEレベルが消費電力と遅延に与える影響と、さまざまなフェージング条件での動作も解析することを推奨します。エンドツーエンドのアプリケーションテストと、特にNB-IoTデバイスのセキュアな秘密通信の動作の検証も重要です。
