電源電圧変動除去比測定(PSRR)
ローデ・シュワルツのオシロスコープ
ローデ・シュワルツのオシロスコープ
電源のデザインエンジニアは、デザインにおける電源電圧変動除去比、すなわち電源リップル除去(PSRR)の測定という課題にたびたび直面します。PSRRは、電源の出力安定度を示す重要なパラメータです。これは、入力電圧変動が出力電圧の安定度におよぼす影響に関する情報を提供します。
R&S®RTx-K36 周波数応答解析(ボード線図)オプションによって、既存のオシロスコープで容易かつ迅速に低周波応答を解析できます。パッシブフィルターや増幅回路など、さまざまな電子デバイスの周波数応答を評価できます。スイッチング電源の制御ループ応答や電源電圧変動除去比も測定できます。R&S®RTx-K36オプションは、オシロスコープの内蔵波形発生器を使用して、10 Hz~25 MHzの入力信号を作成します。オシロスコープは、入力信号とDUTの出力信号の比を各テスト周波数で測定し、利得を対数グラフに、位相を線形グラフにプロットします。
R&S®RTx-K36オプションによって、電源電圧変動除去比を測定して、レギュレート出力に対するレギュレーターシステムの遷移を評価できます。
PSRRの測定セットアップ
PSRRの測定は、正弦波リップルを印加して電圧を供給し、レギュレーター出力に対する入力から得られた利得を測定して行うことができます。
注入された信号がアイソレートされ、これによるDCバイアスが発生しないことを確実にするには、Picotest社製のJ2120Aラインインジェクターなどが必要です。
グランドスプリングを使用すれば、電源電圧変動除去比測定に最適なS/N比を実現できます。
プロービング
適切なPSRR測定を実行するには、プローブが適切であることが前提条件です。例えば、試験対象のDC-DCコンバーターの除去比が高いと、Vout信号のピークツーピーク振幅は非常に小さくなる可能性があります。その場合、広いダイナミックレンジを備えたプローブを使用する必要があります。多くのオシロスコープには10:1パッシブプローブが付属していますが、出力信号に対して1:1パッシブプローブを使用するとダイナミックレンジが拡大します。ローデ・シュワルツは、本アプリケーション向けに、38 MHzの帯域幅を備えたR&S®RT-ZP1X 1:1パッシブプローブを推奨しています。
プローブのグランド接続の長さを短くすると、グランド・ループ・インダクタンスを最小化できます。プローブの標準グランドリードがアンテナとして動作して、これにより、不要なスイッチングノイズが増幅する場合があります。VinおよびVoutのテストポイント近くにグランドポストがある場合には、長いグランドリードを使用するべきではありません。R&S®RT-ZP1Xのグランドスプリングを使用すれば、グランド接続を短くできます。これにより、測定に適した低ノイズグランドを構成できます。
デバイス設定
オシロスコープを被試験回路に接続した後、測定は簡単に開始できます。
PSRR測定
測定結果
ボード線図に表示された曲線は、レギュレート出力に対するレギュレーターシステムの遷移を表すものです。下のグラフは利得対周波数です。マーカーは、プロットされたトレース上の必要な位置に直接ドラッグできます。マーカーの座標が凡例に表示されます。
結果は表形式で表示できます。測定結果の表には、各測定ポイントの周波数、利得、位相シフトの詳細情報が表示されます。マーカーを使用すると、結果の表で関連した列が強調表示されます。レポート作成用に、スクリーンショット、表の結果、またはその両方をUSBドライブに簡単に保存できます。
オシロスコープは、今日、エンジニアが電源の設計を試験/評価するための主要な測定ツールです。R&S®RTx-K36 周波数応答解析(ボード線図)オプションは、低周波ネットワーク・アナライザまたは専用の周波数アナライザに代わる低コストのツールです。