電子設計のパワーインテグリティー
電子設計のパワーインテグリティーを確保するための正確な測定
今日の高度に統合された電子機器では、低い電圧レベルと、電力の変動に対する許容範囲が非常に小さいコンポーネントが使用されています。そのため、電源供給回路の性能解析をPCB上で行うことが、回路設計プロセスの重要な一部になります。これまでは、パワーレベルのリップル、ノイズ、過渡現象をタイムドメインで測定することが適切な手法でしたが、電力スパイクを引き起こす信号との意図しない結合を検出するためには、周波数ドメイン出の測定も不可欠です。追加の要素も考慮する必要があります。それは、電源投入時のサージや負荷変動などの過渡期にて最大数百MHzの高周波応答が生じる可能性のあることです。これが生じるとパワーレールが伝送ラインとして動作するようになり、シグナルインテグリティーに影響します。
正確なタイムドメイン測定値を取得して、1~3 Vのパワーレール上の非常に小さなmVレベル信号のリップル、ノイズ、過渡現象を正確に検出するのは困難です。適切なオシロスコープとプローブを組み合わせて、想定されるピークツーピークノイズよりもはるかに低いノイズフロアを実現しなければ、正確なリップル測定はできません。高速な更新速度、高いADC分解能、広い帯域幅が、高速な擾乱や過渡現象を捕捉するためには不可欠です。パワーレールに対する不要な信号結合と、これにより生じる周波数ドメインの高調波を調査するには、オシロスコープに、周波数帯域幅の広い強力なFFTが必要です。電源のスイッチング速度がkHzレンジでも、エッジが急峻であればMHzレンジまで十分に達する高調波が発生します。プローブの性能は重要です。これは、測定器の重要な一部だからです。
さらに、電源供給回路では、mΩレンジという低いインピーダンスを実現する必要があります。これは理想的には周波数により変化しません。過渡期のインピーダンスを調査するために最適な測定器は、低インピーダンス測定に必要なダイナミックレンジと、最大数百MHzまでの高調波を含める周波数レンジを備えたネットワーク・アナライザに適切なプローブを組み合わせたものです。