イーサネットテストとデータ伝送テクノロジー
イーサネットがコンピューターネットワーキング向けに初めて商用導入されたのは1980年のことです。1983年には、IEEE 802.3として採用され標準化されました。1980年代末までには、イーサネットはローカルエリアネットワーク技術の主流となりました。当初は非常にかさばったケーブルを使用していましたが、1990年に、10BASE-T2をサポートする4本のツイストペア線(ツイストペアのうち2本を使用)に置き換えられました。
イーサネットの最大データレートは、当初の2.94 Mbit/sから現在は400 Gbit/sまで上昇しています。現在、データレートに関して、多くのLANの中でデバイス間をつなぐ最も遅いリンクは、基本的な配線そのものである銅のツイストペアケーブルです。敷設されているケーブルの大部分は、カテゴリー5/5eおよびカテゴリー6です。これは、最大データレートが1 Gbpsの1GBASE-Tをサポートしています(10 Gbpsおよび100 Gbpsのデータレートには光ファイバーケーブルが必要です)。2.5GBASE-Tおよび5.0GBASE-Tを使用すれば、最大100 mの距離の既存ケーブルでデータレートを各々2.5 Gbpsおよび5 Gbpsまで高速化できます。
イーサネットテクノロジーはその後、他のアプリケーションにも採用されました。xBASE-T1の「T1」により指定される1本のツイストペアケーブルを伝送に使用することで、自動車環境と互換性のなかったイーサネットは、車両内でよりデータレートの高い信号を実現するために最適なテクノロジーへと変化しました。最初はBroadcom社により開発され、BroadR-Reachとして発表されましたが、その後、2011年からは、OPEN Alliance(One-Pair Ether-Net)SIGがこれを推進し、テクノロジーはイーサネット規格の802.3ファミリーである100BASE-T1S(802.3bw)の一部として採用されています。規格名における「S」は15 m以内を表す短距離(Short distance)を表しており、一般に自動車のアプリケーションに採用されています(40 mもサポートされています)。物理層を1本のシールドされていないツイストペアに最適化することで、EMC性能の許容レベルを維持しながら、配線コストと重量を大幅に軽減しています。
xBASE-T1Sが自動車用のイーサネットを実現する一方で、10BASE-T1L(最大1,000 mの長距離用)は、現場で使用されるデバイス(センサやアクチュエーター)へのシームレスなイーサネット接続の入口として使用されます。これらのデバイスは、製造やプロセス設備の自動化のために不可欠です。このような接続を産業用イーサネットといいます。10BASE-T1Lは、プロセスの自動化に対してイーサネットの使用が制限されるという課題を解決します。このような課題には、パワー、帯域幅、配線、距離、データアイランド、危険区域アプリケーションへの安全な接続などがあります。10BASE-T1Lでは、4mA - 20mAのHighway Addressable RemoteTransducer(HART)やControl and Communication(CC)-Linkなどのテクノロジー向けに元々敷設されている1本のツイストペアケーブルを再利用できます。