ローデ・シュワルツの電源による実環境シナリオのエミュレーション

課題

昨今の回路では、動作ステートに応じて異なる電圧/電流レベルが必要になります。例えば、エンベディッドシステムの起動シーケンスをシミュレートする場合では、複数のチャネルの間で同期された特別な電圧/電流プロファイルが必要になります。

ローデ・シュワルツのソリューション

ローデ・シュワルツの電源には、内蔵任意波形発生器が標準で付属しています(R&S®HM7042-5を除く)。これにより、アプリケーションの必要に応じて、時間的に変化する電圧/電流を簡単に発生でき、カスタマイズすることができます。バッテリー充放電のテストや、単純なTTL信号のシミュレーションなども実行できます。その他の例は、次ページでご確認ください。

新しいパターンは、電源のオンスクリーンメニューから直接プログラムすることも、Excelなどを利用して作成した.CSVファイルからロードすることもできます。さらに、SCPIを通じてポイントをプログラムすることもできます。複数のチャネルにわたるパターンを発生するには、マルチ出力電源の各チャネルに個々のパターンをロードします。パターンの各ステップでは、電圧、電流、持続時間、補間を設定できます。補間設定を使用すると、2個のデータポイントの間の値を自動的に補間できます。プログラム可能な電圧、電流、持続時間、繰り返し数、データポイント数の範囲は、モデルによって異なります。次ページの表で、ローデ・シュワルツの各電源のこれらについての仕様を掲載しています。

テストニーズによっては、トリガイベント発生時にパターンの次のステップに進むこともできます。

R&S®NGM200 電源シリーズのQuickArbエディターインタフェースの例

R&S®NGM200 電源シリーズのQuickArbエディターインタフェースの例。ランプ機能の5回の繰り返しから構成されるのこぎり波が設定されています。最後には、対応する終了動作を選択することで、最後の値を維持するように設定されています。

上でプログラムされたパターンの出力

上でプログラムされたパターンの出力

任意波形発生器は、さまざまなアプリケーションに対応できます。

方形波

方形波は最も基本的なパターンです。方形波とは、電圧/電流が2つの固定レベルの間で切り替わるものです。
方形波は非常に用途が広く、DCモーターの耐久性テストや、TTL信号のエミュレーションに使用できます。電源の高いパワーレベルおよび電圧変動と組み合わせることで、パルスめっきなどのアプリケーションも可能になります。

ランプ波

ランプ波とは、電圧または電流が1つの値からもう1つの値までリニアに変化するものです。
電圧のランプアップはチャネルの標準機能でも可能ですが、任意波形機能を使用してランプ波を発生することで、さまざまな可能性が開けます。例えば、チャネルのランプダウンや電流の制御、あるいはランプ中の擾乱の導入などが可能です。

正弦波

正弦波は、基本的な数学関数であるsin(x)に従います。電源での正弦波の主な用途としては発振のエミュレーションが挙げられますが、磁気コイルをドライブするためにも使用できます。さらに、振幅または周波数を変調することで、パルス幅変調(PWM)システムのドライブにも使用できます。

のこぎり波

ランプ機能を周期的に繰り返すことにより、のこぎり波あるいは三角波のパターンが得られます。最も一般的なアプリケーションとしては、表面をラスターする際に発生する垂直/水平偏向信号があります。

パルスまたはグリッチ

パルスとは、特定の振幅を短い持続時間で取る信号です。持続時間が0に近い場合は、グリッチと呼ばれます。これらの信号は、デジタルデザインでの回路の異常をシミュレートするために使用できます。

組み合わせ

基本波形と形状の任意定義を組み合わせることで、ニーズに合わせて電源の機能を調整できます。
さらに、複数のチャネルを持つモデルの場合、複数のチャネルにわたる組み合わせをプログラムできます。例えば、ビットパターンや、低速のI/Qデータストリームを実現できます。

まとめ

ローデ・シュワルツの電源の任意波形機能を利用すれば、デバイスの動作をシミュレートでき、基本的なスタンドアロン任意波形発生器の代わりとしてアプリケーションで使用できる場合があります。

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