セグメントメモリとヒストリー機能による散発的なエラーの高速解析
ヒストリー機能を用いた最高分解能での長時間捕捉
ヒストリー機能を用いた最高分解能での長時間捕捉
オシロスコープ | セグメントメモリ |
---|---|
R&S®Scope Rider RTH | 50 Mサンプル |
R&S®RTB2000 | 320 Mサンプル |
R&S®RTM3000 | 400 Mサンプル |
R&S®RTA4000 | 1000 Mサンプル |
新製品の開発時には、散発的なエラーによって貴重な時間が失われことがあります。個別のデータパケット間で通信の一時停止が非常に長くなる場合があるため、プロトコルベースのバスのデバッグは特に困難で時間がかかります。例えば、センサは1分間に1回だけ、I2Cバス経由で値を送信する、というような場合が当てはまります。オシロスコープのメモリでは、通常、エラーやエラーの履歴を解析するためのメモリ長は数ミリ秒に制限されているため、散発的なエラーを追いにくい場合があります。
この問題の解決には、大容量のセグメントメモリと専用のトリガ条件により、長時間休止することなく、関連するシーケンスを捕捉できる機能が最適です。R&S®RTB2000およびR&S®RTM3000 オシロスコープにR&S®RTB-K15およびR&S®RTM-K15オプションを搭載することで、これを実現できます。
R&S®RTA4000およびR&S®Scope Rider RTH オシロスコープには、標準でセグメントメモリが搭載されています。
シングルショット
長いデータシーケンスは通常、シームレスなシングルショットで収集されます。最大レコード長は、利用可能なメモリと選択したサンプリングレートによって異なり、 最大レコード長がわずか数ミリ秒の場合は、通常、単一のプロトコルパケットの収集に制限されます。
アクティブな信号要素に収集を制限
セグメントメモリを使用して信号収集を行う場合は、利用可能なメモリがセグメントに分割され、各セグメントに一定の数のサンプルが記憶されます。セグメントの長さは、信号の最大パケット長に基づいてユーザーが定義します。トリガポイントでは、必要な信号セグメントがトリガのタイムスタンプとともにメモリに記録されます。アクティビティがない期間は捕捉されません。
最小のブラインドタイムが必要な場合は、高速セグメント・メモリ・モードをオンにします。このモードをアクティブにすると、信号の即時後処理/表示が抑制されるため、2つのデータ収集間のブラインドタイムが最小限に抑えることができます。収集したデータは後で解析されます。
ヒストリーおよびセグメントメモリ
R&S®RTB2000およびR&S®RTM3000にR&S®RTB-K15およびR&S®RTM-K15オプションを搭載すれば、320/400 Mサンプルのセグメントメモリとヒストリー機能が得られます。R&S®RTA4000およびR&S®Scope Rider RTH オシロスコープでは、標準で1000 Mサンプル/チャネルおよび500 kサンプル/チャネルのセグメントメモリを利用できます。アナログチャネルとデジタルチャネルに対応しています。メモリは複数のステップに分割できます(表を参照)。高速セグメントモードをオンにすると、ブラインドタイムが最小200 nsに減少します。
ヒストリーモードでは、後からすべてのデータを解析できるようになります。高精度のタイムスタンプによって、信号イベントの正確な時間相関が可能になり、 個々のマークの付いたセグメントをデータ収集テーブルで選択し、表示することもできます。ヒストリー機能を使用して、すべてのセグメントを自動的に再生することもできます。また、QuickMeas機能、マスクテスト、プロトコルデコードなどの測定ツールは、不良セグメントの解析に活用することができます。
図のI²C信号からは、プロトコルパケットの長さが約100 μsであることがわかります。これらのプロトコルパケットは、1分間の通信停止によって遮断されています。R&S®RTx-K1 プロトコル・デコード・オプションをオンにすると、すぐに10 kサンプル(83.3 MSa/sのサンプリングレート)で典型的な信号異常を確実にデコード/検出できることがわかります。また、この値を設定すると、オプションによって使用可能なセグメント数が自動的に計算されます。この例では、35 000セグメントあり、これは、24時間の最大レコード長に相当するものでした。
過去に記録したデータへのアクセスは、データの収集中も収集後も、ヒストリー機能ボタンを押すことにより可能です。ヒストリー機能の標準的なマスクテストとナビゲーションオプションを使用すれば、信号異常やその原因すばやく特定できます。この例では、システムクロック信号の不良パケットの前の数パケットのグリッチが、エラーの原因を特定するための鍵でした。タイムスタンプから、エラーが周期的(常に午前中)に発生したいたことがわかりました。系統的テストにより、ライン上のシールドが不十分であるために、ラボの蛍光灯のスイッチを入れたときに発生したパルスが拾われていたことが確認でき、原因を追求することができました。問題は、シールドを強化することによって解決されたのです。
セグメント・メモリ・モードの仕様 | ||||
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R&S®Scope Rider RTH | R&S®RTB2000 | R&S®RTM3000 | R&S®RTA4000 | |
最小セグメントサイズ | 2.5 kサンプル | 10 kサンプル | 5 kサンプル | 5 kサンプル |
最大セグメントサイズ | 500 kサンプル | 20 Mサンプル | 80 Mサンプル | 200 Mサンプル |
波形更新レート | 50,000波形/秒 | 300,000波形/秒 | 2,000,000波形/秒 | 2,000,000波形/秒 |
最小ブラインドタイム | – | < 2.5 μs | < 200 ns | < 200 ns |
全メモリ | 50 Mサンプル | 320 Mサンプル | 400 Mサンプル | 1000 Mサンプル |