制御ループ解析

制御ループ解析

電源の制御ループ解析

電子機器の電源では、デバイスの負荷が変化しても一定の出力レベルを維持することが基本的な要件です。出力レベルのモニターを行うためには、電源に対してレベルがほぼ瞬時にフィードバックされる必要があります。これは、閉制御ループの役割です。電源は、過剰なリンギング(オーバーシュートとアンダーシュート間の発振)を起こさずに、負荷の変動に迅速に応答する必要があります。フィードバックの品質は、電源の性能において重要な役割を果たします。

スイッチング電源(SMPS)は、小型で軽量、さらに効率的で安価な上に、広い範囲の入力電圧範囲に適しているため、実質的に電源を設計する場合の普遍的な選択肢になっています。スイッチング電源がさまざまな条件下で正しく動作しているかどうかを調査するには、制御されたスティミュラス信号を入力して制御ループの応答を誘発しながら、広い周波数範囲にわたって制御ループの利得/位相シフトを測定します。

ボード線図は、電源制御ループ解析に最適なツールです。利得(dB)と位相シフト(°)の両方が同時に表示されます。ボード線図は、スティミュラス信号の周波数が変化したときのループの性能(レギュレーション速度)を提供し、システムが不安定になるまでにどれくらいの余裕があるのかを示します。位相マージンでは、利得と0 dBしきい値が交差する位置の周波数を位相と比較することで、システムが不安定な動作に至るまでにどれくらいの位相マージンがあるのかが表示されます。

オシロスコープボード線図を使用した評価に最適な測定器で、制御ループ解析に最適である、いくつかの理由があります:

  • 周波数レンジ:制御ループ応答の測定はDC近傍から数MHzまでで実行する必要があります。オシロスコープはこの範囲に非常に適しています。
  • 解析しやすいボード線図結果:周波数の変化に対する利得と位相シフトが同時に表示されるため、設計者は、クロスオーバー周波数での位相マージンと-180 °の位相シフトでの利得マージンの目標値が満たされているかどうかを明確に把握することで、性能要件や安定性要件を満たすことができます。
  • 汎用のベンチ用オシロスコープ:他の測定器よりもはるかに低いコストで、大部分の要件を満たす周波数応答測定の性能レベルを実現します。さらにオシロスコープは、他の数百もの日常的な測定作業に使用することができます。

電源制御ループテストの課題

適切な中程度のスティミュラス信号レベルを使用する必要があります。注入レベルが低すぎると利得が過度に高くなり、低周波の結果にノイズが多くなります。一方で、一部の制御ループは注入レベルの影響を非常に受けやすく、レベルが高すぎると利得が過度に低くなり、非線形効果(大信号効果)が引き起こされます。

これに加えて、必要なスティミュラス信号レベルが周波数により変化する可能性があります。一般的に、低周波ではより高い信号レベルが必要になり、高周波ではより低い信号レベルが必要になります。

測定電圧がmV単位で周波数がkHz範囲の制御ループ信号の場合、高い感度と低いS/N比をサポートするために、プローブのノイズフロアは十分に低い必要があります。

回路の動作を変えないためには、ループ順方向が戻り方向よりもはるかに大きいインピーダンスを実現している必要があります。

当社の制御ループ解析テストソリューション

4つのファミリーから成るローデ・シュワルツのオシロスコープはすべて、パワーエレクトロニクスの周波数応答解析に最適な特長、機能、性能を備えていますR&S®MXO4R&S®RTB2000R&S®RTM3000R&S®RTA4000)。

R&S®MXO4では、市場をリードする450万回/秒の収集速度、12ビットA/Dコンバーターが提供する高い分解能、独自のR&Sデジタルトリガをベースとする垂直軸0.00001 divのトリガ感度などの特長を、ミッドクラスで利用できます。

3つのRTxオシロスコープファミリーはすべて、解像度が1280×800の10.1インチ静電容量式タッチスクリーン、10ビットA/Dコンバーター、10秒の起動時間、16個のデジタルチャネル(オプション)を使用可能です。さらにオプションにより、ロジック・アナライザ、スペクトラム・アナライザ、プロトコル・アナライザ、任意波形発生器、パターンジェネレーター、デジタル電圧計などの幅広い測定器を搭載できます。

R&S®RTx-K36オプションは、これらのあらゆるオシロスコープに搭載可能でボード線図を提供します。オシロスコープの内蔵信号発生器がスティミュラス信号(10 Hz~25 MHz)を出力します。これらすべてのオシロスコープで、低減衰比のプローブを使用できます。

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R&S®MXO 4

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ローデ・シュワルツの解析テストソリューションの利点

外部信号源が不要です。オシロスコープに内蔵されている波形発生器がスティミュラス信号(10 Hz~25 MHz)を提供します。

安定性を調査するための解析は、ボード線図機能を用いて単純明快に実行できます。オシロスコープは、必要なパラメータのすべての変更を実行します(オプションK36が必要)。オシロスコープのロータリーノブを回すだけでスティミュラス信号の周波数を調整でき、この信号が利得マージンと位相マージンにどのように影響するのかを、オシロスコープ画面で直接確認できます。

厳密な測定手順が必要です。その理由は特に、周波数によって最適なスティミュラス信号が変化する場合があるためです。振幅プロファイルを使用して、信号レベルを既定の周波数に適切に合わせます。信号レベルは最大16ステップまでがサポートされています。

最適なプローブを、サポートされるすべてのオシロスコープでご利用ください。

ローデ・シュワルツの制御ループ解析ソリューションについてご質問がある場合は、こちらまでお問い合わせください。

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ウェビナー:制御ループ安定度

本ウェビナーでは、スイッチング電源の制御ループの安定度を測定する方法について説明します。測定の主要なコンセプトについて説明し、主要なトピックスに焦点を当て、実用的な観点から測定について解説します。さらに、適切な測定セットアップを紹介し、主要なソリューションの差別化に関してアドバイスします。

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