非地上系ネットワーク(NTN)

非地上系ネットワーク(NTN)

5G NTNで世界をつなぐ

NTNとは?

非地上系ネットワーク(NTN)とは、地表より上で動作する無線通信システムのことであり、低軌道(LEO)衛星、中軌道(MEO)衛星、対地静止軌道(GEO)衛星、高高度プラットフォーム(HAPS)、ドローンなどを含みます。これらのコンポーネントは、シームレスなカバレッジの実現に不可欠であり、従来の地上系ネットワークにアクセスできない遠隔地にもカバレッジを提供します。

今日のデバイスは、3GPP地上系ネットワークに接続するものと、衛星に接続するものに分けられます。言い換えれば、衛星への接続を必要とするユーザーは、既存のスマートフォンと別にもう1台デバイスを持つ必要があります。NTNを使えば、すべてのモバイルデバイスを、3GPPエコシステムの一部として、地上系と衛星の両方のネットワークに接続できます。さらに、テクノロジーの継続的進化によって、衛星が基地局の役割を果たすようになるはずです。

非地上系ネットワークの全般的接続の概要
非地上系ネットワークの全般的接続の概要
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NTNの進化

NTNには、NTN-IoTとNTN-NRの2つの要素があり、 それぞれが異なるユースケースと市場に対応しています。

NTN市場の確立は、NTN-IoTから始まりました。NTN-IoTは、IoTのユースケースの範囲を拡げ、地上、海上、空中のすべてにわたる真のグローバルカバレッジを実現します。GEOとLEOの両方の高度で動作しますが、現時点でのサービスはほとんどがGEOで動作しています。

NTNテクノロジーの進歩に伴い、NTN-NRは重要性を増していくはずです。NTN-NRは、スマートフォンやその他の5Gデバイス(RedCapを使用するデバイスなど)に直接接続して、非地上系サービスを利用可能にします。これはLEO高度で動作し、さまざまなユースケースでの低速データサービス、音声、メッセージングに利用できます。

NTN-IoTのユースケース

今後5~10年の間に、NTN-IoTの衛星ベースサービスの拡大が見られるはずです。

  • SOS/双方向メッセージング:デバイス(スマートフォン、ウェアラブル、自動車)にNTN NB-IoTチップセットを組み込むことで、地上系ネットワークにアクセスできない場所でSOS/双方向メッセージングが可能になります。
  • 農畜産業:精密農業や家畜モニタリングといった農業アプリケーションが、農村地域や遠隔地でも利用可能になります。
  • 資産トラッキング:輸送コンテナや車両といった価値の高い資産の位置を、セルラー接続が制限される地域を移動している間も追跡できます。
  • 災害対応/復旧:インフラの損害によって接続が制限されるか途絶した地域でも、捜索/救助、損害評価、緊急対応用のIoTデバイスを利用できます。
  • リモートモニタリング:石油掘削装置や測候所などの遠隔地にある機器をモニターできます。
  • 海上/空中アプリケーション:接続が制限された外洋あるいは沿岸地域で、船舶トラッキングや環境モニタリングを実行できます。
  • 車載用通信:データレートの低い、自動車の安全に関するサービスおよび緊急通報、監視、アクセス制御などのリモートサービスの継続性を確保できます。

5G NTN-NRのユースケース

NTNの進化とともに、NTN-NRの重要性はますます高まっていきます。このテクノロジーは、NTNの範囲を拡げ、NTN-IoTと同様のサービスを、それよりはるかに大きいスケールで提供します。

  • 5G基本サービスのあらゆる場所での連続性 NTNによるカバレッジと到達距離の拡大により、5G基本サービスの連続性をあらゆる場所で保証できます。これは、モバイルデータ、音声通話、メッセージングなどのサービスへの、場所や地形に依存しないシームレスなアクセスを意味します。これは、個々のユーザーにとって利益があるだけでなく、途切れることのない接続に強く依存している企業や業界にとっても有用です。
  • NTNによる5G固定無線アクセス(FWA)の機能拡張NTNを利用することで、5G FWAは信頼性が向上し、より広範囲で利用可能になります。これにより、高速で安定したインターネットサービスを家庭や企業に容易に提供できるようになります。これは特に、従来の有線接続が実現不可能またはコスト面で効率的でない地域で意味があります。
  • 5GとNTNによるIoT革命:NTNが5Gネットワークに組み込まれることで、IoTの機能は大幅に拡張されます。これにより、データ交換が効率的になり、デバイスの相互運用性が向上し、高度なIoTエコシステムが実現されることで、あらゆる業界でのデジタルトランスフォーメーションが推進されます。
  • 自動車業界のトランスフォーメーション:NTNは、Vehicle-to-Everything(V2X)通信の機能拡張、自動運転車の開発、高度なテレマティクスサービスのサポートを通じて、自動車業界の進化に寄与します。これは、自動車業界の安全性、効率性、ユーザー体感の大幅な向上につながります。
  • 5Gのシンプルなローミングソリューション:NTNは、シンプルな5Gローミングソリューションの実現に寄与します。これは、シームレスで境界のない接続を可能にすることで、場所にかかわらず一貫した高品質のネットワークサービスを実現するものです。
  • 5GネットワークのバックホールのサポートNTNは、5Gネットワーク向けのバックホールソリューションとして有効です。これは、ネットワークの到達範囲を拡げ、容量を拡大し、遠隔地や到達困難な場所でも信頼性の高い接続を確保するために役立ちます。
  • 公共安全業務の機能拡張:NTNは、公共安全機関に不可欠な信頼性の高い堅牢な通信を提供できます。これにより、困難な環境や制約されたインフラの下でも、リアルタイムの調整、迅速な対応、シームレスな情報交換が可能になります。
  • 災害対応/復旧管理:地上系ネットワークは、自然災害や人為的な災害のために機能が損なわれることがあります。NTNを使えば、このギャップを解消し、災害対応チームに重要な接続機能を提供できるので、救助活動の調整が可能になり、被害地域の迅速な復旧に寄与します。
  • 高度な海上/空中接続:NTNの機能を利用することで、海上/空中環境での接続機能を大幅に改善できます。これにより、航行/追跡/通信の機能が向上し、従来通信が困難だったこれらの場所での安全性と運用の効率性が高まります。
  • 車載コネクティビティの普及電話、フリートモニタリング、診断、ソフトウェアの更新などのアプリケーションに対してサービスの継続性をいつでもどこでも提供しながら、将来の自動車業界向けにコネクテッドカーやインテリジェントカーをサポートします。

NTN関連の3GPP規格とは?

3GPPは、地表面より上で無線接続を提供するためのNTN規格を開発しました。この規格は、さまざまな端末タイプを使用する多様なシナリオ(周波数バンド、サービス、軌道)をサポートします。

例えば、周波数レンジ1(FR1)で動作する衛星アクセスネットワークは、屋外のハンドヘルドデバイスや自動車/ドローンに搭載されたデバイス向けには5G NR規格を通じて、屋外のIoTデバイスへは4G NB-IoT/eMTC規格を通じて直接接続を提供します。一方、周波数レンジ2(FR2)および周波数レンジ3(FR3)で動作する衛星アクセスネットワークは、建物の屋根に取り付けられた超小型地球局(VSAT)や、自動車、列車、船舶、航空機などの移動するプラットフォーム上の移動地球局(ESIM)を通じて、ローカルネットワークとのブロードバンド接続を提供できます。

リリース17において5GでNTNが使用可能になり、リリース18では、NTN-IoTの機能拡張、NTN-NRの新しい周波数の追加、新しいサービスとトラフィックモデルなどのアップデートが加えられました。これらの改善により、5G NTNは、遠隔地や到達困難な場所での高速で信頼性の高い効率的な無線接続を、さらに効果的に提供できるようになると期待されます。さらに、自動運転車、スマートシティー、IoTなどの新興テクノロジーもサポートされます。

ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

非地上系ネットワーク(NTN)用テストソリューション

非地上系ネットワークのテスト:5G NTN衛星インフラ

NTNペイロードテストにより、5G NTN衛星インフラの信頼性を確保します。革新的なテストソリューションにより、信頼性の高いネットワーク性能とグローバルなコネクティビティを達成します。

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NTNモバイルデバイステスト用ソリューション

当社のNTNデバイステストソリューションをご紹介します。当社は、高い製品品質と業界標準への準拠を確認するための、NTN-IoTデバイステストのあらゆる側面をサポートします。

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NTNテクノロジーKnowledge+

Article: 5G from space - implications for NTN test and measurement

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ホワイトペーパー:5G非地上系ネットワークの技術概要

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ウェビナー:5G NTNの飛躍 - 6Gに向けて進化する5G非地上系ネットワーク

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NTNテクノロジーFAQ

5GのNTNとは何ですか?

5G NTN-NRは、NTNテクノロジーの次の段階です。NTN-NRは、NTN-IoTと同様のサービスを、それよりはるかに大きいスケールで提供します。NTN-NRは、スマートフォンやその他の5Gデバイスに直接接続して、非地上系サービスを利用可能にします。NTN-NR衛星はLEO高度で動作し、さまざまなユースケースでの低速データサービス、音声、メッセージングに利用できます。

5G NTNにはどのようなユースケースがありますか?

5G NTNには以下のようなさまざまなユースケースがあります。

  • 5G基本サービスへのシームレスなアクセス
  • 5G FWAおよびIoTの機能拡張
  • V2X通信、自動運転車の開発、高度なテレマティクスサービス
  • シンプルな5Gローミングソリューション
  • 5Gネットワークのバックホールのサポート
  • 公共安全業務
  • 災害対応/復旧管理
  • 高度な海上/空中接続
地上系通信と衛星通信の違いは何ですか?

地上系通信は、地球上にあるケーブルやセルラーネットワークなどのインフラを利用して、比較的短い距離で高いデータレートと小さい遅延を実現します。これに対して、衛星通信は広いカバレッジを提供しますが、遅延が大きく、高いインフラコストがかかります。地上系通信は地理によって制限されるのに対し、衛星通信は地理的制約を超えることができます。それぞれの方法には固有の利点があり、どちらを選ぶべきかは、通信ニーズと、データレート、遅延、カバレッジ、コストの間のトレードオフによって決まります。

NTNにはどのような種類がありますか?

NTNには、地表より上で動作するさまざまな無線通信システムが含まれます。例としては、低軌道(LEO)衛星、中軌道(MEO)衛星、対地静止軌道(GEO)衛星、高高度プラットフォーム(HAPS)、ドローンなどがあります。NTNには2つの要素があります。1つはNTN-IoTで、GEO/LEO高度でIoTのカバレッジをグローバルに拡大するものです。もう1つはNTN-NRで、LEO高度でスマートフォンや5Gデバイスを直接接続することで、さまざまなユースケース向けの低速データサービス、音声、メッセージングを実現するものです。

NTNの利点は何ですか?

NTNは、従来の地上系ネットワークにアクセスできない遠隔地まで無線接続を拡張することで、シームレスなカバレッジを実現します。これにより、遠隔地の人々が、基本的サービスにアクセスし、他の人々と交流して、デジタルの世界に参加できるようになります。

また、NTNは、以下のような重要な衛星ベースのサービスを可能にします。

  • SOS/双方向メッセージング
  • 精密農業や家畜監視などの農業アプリケーション
  • 資産トラッキング
  • 災害対応/復旧
  • リモートモニタリング
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