GSM-Rは、セルラーGSMテクノロジーに基づいて、列車の制御などの鉄道分野の要件に対応するための拡張を加えたものです。
一般的に、GSM-Rでは、GSMシステムと同一または類似した特性が用いられます。例えば、周波数間隔（200 kHz）、変調（ガウシアン最小シフトキーイング、GMSK）、アクセス方式（TDMA、TDD/FDD）などです。GSM-Rの周波数は、GSM-900規格の周波数より下方向に拡張されています。
通常のGSMシステムと同様、GSM-Rでも、GPRS（General Packet Radio Services）による最大14.4 kbit/sのデータ通信がサポートされています。このシステムでサポートされる固有のアプリケーションとしては、ATC（Automatic Train Control）およびETCS（Electronic Train Control System）による列車運行のリモート制御／自動制御と監視に加えて、機能アドレッシング（固定番号でなく割り当てられた機能でユーザーを呼び出すこと）や位置依存アドレッシングがあります。
その他の鉄道固有の特性としては、複数の端末のグループと同時に通信するためのVGCS（Voice Group Call Service）やVBS（Voice Broadcast Service）などのASCI（Advanced Speech Call Item）があります。GSM-R移動機は、携帯電話機に似ていますが、より堅牢に作られています。また、追加アプリケーションを利用するための拡張機能と異なるユーザーインタフェースを備えています。